1968

映画

2001年宇宙の旅 2001: A Space Odyssey
猿の惑星 Planet of the Apes
太平洋の地獄 Hell in the Pacific

2001年宇宙の旅 2001: A Space Odyssey

キューブリック氏によると「言語的体験は意図しなかった」そうで、また
「SFというより、神話である」そうなので、
解釈はやめて、浸り、感じてみた・・・素晴らしかった

画面構成の美、遠近法
サイケデリックな効果だけは時代を感じた

乗組員、宇宙飛行士達の、落ち着いたジェントルマンぶりがすごい
「やっぱ宇宙にいるオレって勝ち組っしょ」とか絶対言わなそうだ

これほど優雅な宇宙の旅はまだまだ先の話か


⭐10/10

キューブリックは、映画上映前に地球外知的生命体が発見された場合の損失に対する保険をロイズと契約しようとした。
ロイズは拒否した。

宇宙服の呼吸音はキューブリックのもの

猿の惑星 Planet of the Apes

主演の俳優たちが濃い 男優という感じ

海 山 砂漠 大自然

見ざる聞かざる言わざる 

表情豊かなお猿さんメイクがやっぱりすごい
第二次世界大戦の傷痍軍人の外見修復の技術を応用、との事

価値観は相対的

うまいっ!と膝を叩きたくなる見事なオチ

「五匹のこぶたとチャールストン」という歌があるので、チャールストン・ヘストンだと思っていた

続編、リメイクがたくさんある

⭐7/10

西暦3978年の設定

猿の村は、スペインの建築家ガウディの作と、トルコのカッパドキアのギョレメ谷を参考にした

太平洋の地獄 Hell in the Pacific

水着のギャルが似合いそうな青い海、空、白い砂、舞台はむしろ太平洋の天国

最初のスタッフロールでキャストが二人だけとわかってしまい、その予想通りでスリルがない

くたびれた二人のボンデージ、パワハラバトルがせこくて笑える

酔いそうな大海原の映像がなかなかすごい

どうしようもない終わり方は確かに地獄

⭐6/10

戦争プロフェッショナル Dark of the sun

なんだこの邦題は? 的外れではないが…

絶滅した男臭さ、汗、熱血

陽光さんさんな中での野外アクションが爽快 確かに of the sun
デジタル編集ではないリアルにジャングルを走る汽車やジープも愉快

Dark の部分も、拝金主義真っ盛りの現在からするとありえないほど気高い

⭐7/10

実際の撮影地はジャマイカ

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド Night of the Living Dead

初代ゾンビ 生ける屍 モノクロ 地味だが力作 当時の雰囲気がよく感じられる

外見がわかりやすい、殺すのも仕方がない・・・映像作品に最適な敵、ゾンビ。
演じる人たちもなんとなく楽しそう

火葬が主流の日本ではあまりない発想か

⭐6/10

ゾンビたちが食べる人肉にはチョコレートをかけたローストハムが使われた

劇中では「ゾンビ」という言葉は出てこない

ウエスタン C'era una volta il West

タイトルそのままの典型的大作名作
冗談のような渋さ、男臭さ

⭐8/10

ローズマリーの赤ちゃん Rosemary's Baby

監督:ロマン・ポランスキー

ミア・ファロー(奥さん、ローズマリー)
ジョン・カサヴェテス(だんなさん)

1968年の作品なので、現在のこの種の作品と比べると数段上品で、ビジュアルで驚かされる点は全くなかった

登場人物は全員何かやらかしそうな感じだったが、ラストシーンは普通の日本人から
すると、マジなのかギャグなのか微妙で、力が抜けた

結局これは「マタニティ・ブルー」でした、ってことか、違うか…

⭐7/10

ブリット Bullitt

カーチェイスの場面にあえて音楽を流さず、エンジン音だけという技が成功している。
当時の平べったく、馬鹿デカいアメ車がブンブン走り回って大迫力

渋いアンチヒーローな主人公、この魅力は日本では絶滅したようだが、海外ではまだゲームのGTAなどに引き継がれている、と思う

⭐8/10

オリバー!Oliver!

いかにも「少年少女向け名作ミュージカル」といった風情で
なにか照れくさくなる、のは屈折しすぎだろうか

同じく孤児院を舞台にした「アニー」というのもあったが、
こういう作風もめっきり減った、気がする

⭐5/10

if もしも‥‥ If....

盗んだバイクで走り出す」の走りか
パンクの走り 銃乱射の走り
色々と先取りしている 

濃厚なるブリチッシュ・テイスト

⭐3/10

薮の中の黒猫

幽玄なる平安ホラー絵巻

竹藪の中のドライアイスモクモクな貴族屋敷は乙だが現実にはかなり採光が悪そう

時代劇らしく所作もセリフも固く息苦しいが、
散発するアクションシーンでは変身ヒーローもののように
軽快に飛びまくる 

ラブシーンも色っぽい

中村吉右衛門が若くて菅田将暉みたいな顔をしている
声に張りあってキビキビした発声に板についた身のこなしの良さがさすがだ

この系統の音楽はやっぱり武満徹か、と思ったら林光
武満さんよりドレミがわかりやすい西洋音楽寄りだが、
ムードに合っていて良かった

絞死刑

 
監督、脚本:大島渚 

シリアスな問題提起、に見せかけてコメディ
レイプ殺人の死刑囚が朝鮮人韓国人という、今では不可能っぽい設定
キチガイ、クロンボなども普通に言う 

悪い意味で文学的 インテリの観念だけが一人歩き
そのため、覚えるのが大変そうな難し気なセリフを順番に、いかにも脚本的にしゃべる、というのは悪い意味で舞台的
 
その舞台っぽさも出来の悪いドリフというか寒い素人風コント

 タイトルから想像したのよりはよっぽどユーモアがあって後味は悪くないが、エンタメとしてはイマイチだった
 
⭐6/10

なぜ人間は創造するのか<未> Why Man Creates

監督、脚本:ソウル・バス

NHK教育的な短編 
昔の学習マンガ「○○のひみつ」とか「なんとか大百科」などを読んでいる気分になった
テレビの「まんがはじめて物語」も思い出す

⭐8/10

イスラムの学者1「アラーに感謝、ゼロを発明したぞ」
イスラムの学者2「それはなんだ?」
イスラムの学者1「無だ」

The Jungle

The Jungle (part 1) - YouTube

The Jungle (part 2) - YouTube

振り付け済みらしきギャングの抗争ドキュメンタリー
まるっきりヒップ・ホップのプロモーションビデオ

都市はコンクリート「ジャングル」だという視点が既にあった

打楽器と声のみのサントラは20年先を行っている

⭐7/10

音楽

Switched-On Bach

情緒のない初期の電子音に、堅苦しいバッハの音楽ですぐにうんざりしてくるが、
やはり先駆者ということで評価されているのだろうか・・・

Dance to the Music

今の「踊ってる場合か!?」的な暗い世相には全く受け入れなさそうな曲調
音楽界では完全に死に絶えた健康的なエネルギー

ドラム、ギター、ベース、オルガン、ホーンと順に登場し、
これでもかと盛り上げる

For Once in My Life

今の基準からするとコード進行がものすごく複雑に聞こえる
スティービー・ワンダーのトレードマーク的なハーモニカ
前向きな歌詞、力強いコーラス

オー・ハッピー・デイ Oh Happy Day

絵に書いたようなゴスペル やっぱり黒人はすごい
日本のバンド「ゴスペラーズ」に聞かせたい

見張塔からずっと All Along the Watchtower

ジミ・ヘンドリックスによるカバー 
グッと胸を締め付けられるような曲調
あとはやっぱりギターソロがすごい

時代を感じるウネウネとした濃すぎるエコー、リバーブに不安にさせられる

Do Androids Dream of Electric Sheep?

あの、映画「ブレードランナー」の原作

映画の中の近未来SFハードボイルド要素を確認する度に胸が躍った
が、期待していたアジア要素は全くなかった
「二つで十分ですよ」も盆栽も折り紙も出てこなかった
原作が1960年代では仕方がないか…

アンドロイド、レプリカントといってもほぼ人間、男と女で、
そのドラマが、ドライ過ぎずウェット過ぎず絶妙なバランスで
展開していく様が素晴らしい
ディックさんの作家としてのテクニックはかなりのもの

「ムード・オルガン」などの、意識がどうのこうのいう
要素は古さを感じた 
ネット的な発想はなかったらしい

コメント