1957

映画

蜘蛛巣城

蜘蛛巣城

黒澤版の「マクベス」

モノクロなので、黒い鎧兜が良く映えて美しかった

幻想、イメージ的なシーンは、CGなどもちろんないので、今見ると
ちょっとショボく感じられたりしたが、ラストシーンのインパクトは
逆にCGなどでは出せない熱さだった。三船敏郎の演技も熱々だ

英語版のタイトルがカッコイイ:Throne of Blood

⭐10/10

城のセットは富士山の斜面に建てられた
シェイクスピアを土台にした初の黒澤映画

俺は待ってるぜ

嗚呼昭和の純文学(脚本:石原慎太郎)

人殺しの経験がある元ボクサーのレストラン経営の青年(石原裕次郎)が、
同じくワケありの女(北原三枝)と夜の波止場で出会う…

バー、キャバレー、ビリヤード等々、当時としてはおしゃれの先端だったと思われる
ムードがいっぱいのモノクロ

スラリとしてスタイルのいい裕ちゃん セリフは少々聞き取りづらいがやさしくて誠実そう
ネクタイなしのジャケット姿がかっこいい
敵のヤクザたちもサングラスにトレンチコートなどで多少コントっぽいがファッショナブル

音楽も主題歌のみドドド演歌だが、ビッグバンドのジャズにブルースなどで渋い

⭐7/10

監督:今井正

茨城の霞ヶ浦周辺が舞台だと思われる、リアリズム的ドラマ
農業と漁業を兼ねる人々の厳しい生き様

いかにも初期のカラーらしい総天然色の色合いがよかった

「七人の侍」で「勝四郎」を演じた木村功(センキチ)を含む役者達が
今の人たちよりも垢抜けていないとはいえ、格段に健康そうに見えて好感が持てた

真白いシャツ、ゆったりとした裾折りズボン、つばの広い麦わら帽子・・・みたいな
何ということのない素朴な装いも、今となってはかえってオシャレにも見える

女優達も、メイクのせいもあるかもしれないが「健康優良児」的な
ピチピチのお肌をしていて「昔は良かった・・・」と思った

芥川也寸志の音楽は、曲や演奏自体はいいのだが、
風景に合わず浮きまくっていた、と思う

戦場にかける橋 The Bridge on the River Kwai

戦場にぶっかける橋

デヴィッド・リーン監督らしい、広々とした映像がよかった。
また同監督の名作「アラビアのロレンス」よりも、ストーリーが面白くて、
手に汗握るサスペンス性があったと思う。

大昔の日本人ハリウッドスター、早川雪洲がサイトウ大佐を演じていた。
1957年の作で、わりと戦後間もないにもかかわらず、好意的な描き方だった。

7/10

実際の橋の建設には10万人の労働者が動員された。
1万2千人の捕虜がこの計画中死亡した。

早川雪舟は自分のセリフだけを残した脚本に編集した。

1956年の第二次中東戦争が製作に悪影響した。運河を通って運ばれるはずだった機材が空輸せざるを得なくなった。

眼下の敵 The Enemy Below

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第二次世界大戦、アメリカの駆逐艦とドイツのUボートの戦い

コクのある総天然色画質での海上広々映像が気持ちいい

ドラマも充実 両軍ともリーダー(ロバート・ミッチャム、クルト・ユルゲンス)に貫禄、説得力がある 

「ワ~敵だ倒せー 」という単純アクションではなく、将棋やチェスのようなジリジリする心理戦 海上海底上下の垂直バトル

だがアメリカらしい明るさ、前向きさもやっぱりあって感心

出演者は男性のみ

8/10 

実際のUボートの中はこの映画のものよりはるかに狭く汚かった

突撃 Paths of Glory

監督:スタンリー・キューブリック

独仏が熾烈な戦いを繰り広げる第一次世界大戦

祖国のためという美名の下、命を失う三人のフランス軍兵士、
敵のではなく味方の弾、しかも無意味な上官の名誉争いの犠牲になって・・・

息子(マイケル・ダグラス)とほとんど瓜二つだが
わずかにスリムにした感じの父(カーク・ダグラス)主演

当時としてはかなりの規模の「突撃」のシーンや、画面構成の端正さ、
芳醇なヨーロピアンテイストなどに、この監督らしさがうかがえた

邦題とかけ離れた原題(PATHS OF GLORY)が実に皮肉だ。戦争反対

7/10

十二人の怒れる男 12 Angry Men

超高密度な室内劇

現実では「なにアイツ、一人で正義漢ぶっちゃって、ウザくね?」で終わりそう

10/10

情婦 Witness for the Prosecution

なんだこの邦題は? 原作の邦題は「検察側の証人」

ほとんど覚えていない  
原作がアガサ・クリスティで、セリフが重要な法廷ものなのでじっくり見ないとダメだったか

7/10

試写会の観客は「この作品の結末を口外しないと誓います」と一筆書かされた

監獄ロック Jailhouse Rock

エルヴィス・プレスリーの主演映画の代表作

カッコいい男が、かっこよく踊る…大成功、という清々しさ

ちょっとした手の動き、軽くくねらせる腰つきに
男のセクシーさが感じられ、
ロケンロール時代の到来を見た

集団でのダンス・シーンには伝統を感じた

6/10

縮みゆく人間 The Incredible Shrinking Man

これは楽しい古典SFホラーの傑作 タイトル通りどんどん小さくなってしまう男
 
’50年代の風景がおしゃれ
 
セットや小道具などを大きく作って相対的に人を小さく見せたり、映像を合成したりの
素朴な特撮だが実に丁寧で良くできている
 
猫の襲来やクモとの格闘などの描写も的確で説得力ある出来 手に汗握る

ロビンソン・クルーソーのように一人で苦闘する主演の人の演技もいい
悲しげな表情が少し野口五郎を思わせる
 
職人芸の濃い目の音楽もモノクロにはよく合って盛り上がった
 
9/10

カビリアの夜 Le notti di Cabiria

監督・脚本:フェデリコ・フェリーニ
音楽:ニーノ・ロータ

ジュリエッタ・マシーナ(カビリア)

初期のフェリーニらしい、文学的で非常に楽天的な人間ドラマ

男にだまされまくり、遊ばれまくりだけどアタシは負けないっ、という強く生きる売春婦カビリアの生き様を描いたもの

現在ではこんな悠長な事は言っていられず、こんな作品作り自体が企画されないだろうと
思うと、時の流れを痛感した

カビリアを演じるジュリエッタ・マシーナが小柄で痩せていて、とても夜、街角に立つ売春婦には
見えない(占い師には見える)ところが、逆に幻想的であって救いになっていた

7/10

野いちご Smultronstället

監督、脚本:イングマール・ベルイマン

野いちご100%

スウェーデン製 暢気な純文学 モノクロの欧州美の極致

と思ったが、自然の中の場面は色が欲しくなる。人工的な空間は白黒でいいが

ストーリーは単なるノスタルジーで特におもしろくはない

6/10

第七の封印 Det sjunde inseglet

スウェーデンの製作

美しい 音楽もいい

宮崎駿のアニメのような世界観、というかこちらが本家か

もはやマジで語られることはなくなった宗教的な問い

黒澤明の影響がやっぱりあったらしい。

7/10

鶴は翔んでゆく Летят журавли

オシャレな恋愛ドラマかと思ったら徐々に重くなっていく

かなり危険そうなアクションをヒロインの女優がこなしている

音楽がクサいほどにロマンチック

元の邦題が『戦争と貞操』
「貞操」・・・死語だなあ

役者、スタッフが、タチアナ、アレクセイ、なんとかスキー、なんとかロフ、ゾフとロシア風味満載

「コンドルは飛んでいく」というのもあった サイモントガーファンクル

7/10

フランシス・フォード・コッポラとマーティン・スコセッシのお気に入りの映画

カンヌ映画祭でパルムドールを受賞した今のところ唯一のロシア映画

Let's All Go to the Lobby

お菓子のCMの基本形と思われるもの
上品で温かい ピタリと揃って複雑かつ軽快にハモるコーラスがすごい
虫歯が心配だ

10/10

Glimpse of the Garden

タイトルそのまんま 特筆すべき点全くなし
一体どこがどう評価されたのかさっぱり
1950年代にカラー、だからだろうか

1/10

オペラ座の狩人 What's Opera, Doc?

なんのひねりもなくただそのままパロディにしているだけの模様

6/10

音楽

Birth of the Cool

「クールの誕生」でも、今の基準だと生演奏、バンドというだけで十分ホットだ

どちらかというと楽譜の再現寄りで堅苦しく、そこは確かに少し「冷たい」かも

ジャズでは珍しく2、3分の短時間な曲ばかり

乗りのいい"Move"が好みだ

1950年代だけにモノラル音声でこれは惜しい

ペギー・スー Peggy Sue

日本だと「佐藤花子さん」と歌うようなものか
唄が上手過ぎず、余興で軽く口ずさんでいるような軽さがいい味

「ペギー・スーの結婚」のという映画がある

That'll Be the Day

真っ白になったリズムアンドブルース
マイルドで腰の低いロック

Great Balls of Fire

ロックンロールの元祖のひとつか
ピアノのグリッサンドがいい味
ボーカルが声はいいのに棒気味な歌い方

WWEに同名のイベントがあるらしい

Whole Lotta Shakin' Goin' On

白いロック
構成は典型的だが、
ピアノでブンチャブンチャ…と刻まれるリズムが斬新だ

ボーカルが少し棒気味で表現力がイマイチ、か

恋のチャンス Chances Are

腰が抜けるほどの美声
音程も完璧 いい曲 上品なアレンジ
心の底から称賛できる名盤

ルシール (Lucille)

リトル・リチャードのヒット曲の中ではこれが一番好きだ

20代とは思えない野太い声のボーカルがすごい
しかもゲイを’50年代にカミングアウト

プリンスやブルーノ・マースなど、後の世代に与えた
影響力はかなりのものか

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