1964

映画

ズール戦争 Zulu
荒野の用心棒 Per un pugno di dollari
博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb
メリー・ポピンズ Mary Poppins
マイ・フェア・レディ My Fair Lady
地球最後の男 The Last Man on Earth
シェルブールの雨傘 Les parapluies de Cherbourg
乾いた花
砂の女
怪談
鬼婆

ズール戦争 Zulu

白ヘルメット、真っ赤な上衣、黒ズボンというド派手なイギリス軍の制服が
おしゃれだが、実戦には窮屈そうで、アフリカの大地、青い空の下ではコスプレのように浮いている

一方アフリカ部族は裸同然、盾に槍という素朴さだが、周りの風景には溶け込んでいてかっこいい

ジョン・バリーのドカンドカン、パパパーンとこれまた派手なオーケストラ音楽

一発撃つごとに弾込めという、まだまだ発展途上だった当時のライフル

悲壮感と中々の迫力のあるアクションだったが、ドラマとしてはやや大味だった

⭐6/10

荒野の用心棒 Per un pugno di dollari

監督:セルジオ・レオーネ
音楽:エンニオ・モリコーネ

クリント・イーストウッド(荒野の用心棒)

黒澤明の「用心棒」の(ことわりなく製作された)ウェスタン版リメイク

このトリオ(レオーネ、モリコーネ、イーストウッド)はこのスタイルで
いくつか連発する

⭐1/10

博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb

なんだこの邦題は? 少なくとも前半は何なんだ

監督:スタンリー・キューブリック
主演:ピーター・セラーズ

緊迫感のある、事実ならシャレにならない内容だが、
この監督らしく、映画としてはやたらと上品で温かい

ラストに連発される巨大なキノコ雲も、人殺しのためと言う事を別にすれば
映像としては美しい、と思えるところが少怖い

⭐8/10

メリー・ポピンズ Mary Poppins

古き良きディズニーの名作の一つ
ジュリー・アンドリュースが「サウンド・オブ・ミュージック」と似た役を演じている

実写とアニメの合成で、基本的には子供向けだと思われるが、かなり長尺で驚いた
「サウンド・オブ・ミュージック」と同様、スタンダード化した名曲がいくつも流れるが
なかでも特に哀愁漂う「チム・チム・チェリー」が気に入った

Supercallifragilisticexpialidocious! (スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス)という呪文
のパロディーでプリンス(音楽の、ジ・アーティスト)の曲にSuperfunkycalifragisexy(スーパーファンキーカリフラジセクシー)
というのがあった

⭐7/10

マイ・フェア・レディ My Fair Lady

長い スノビッシュ 舞妓はレディZ

やっぱセレブがいい!という広義の援助交際 

こういうヒラヒラフリルなファッションが主流になる日がまた来るのだろうか

⭐3/10

19歳の役を演じたオードリー・ヘプバーンは当時35歳

1912年の設定

地球最後の男 The Last Man on Earth

ゾンビものの隠れた名作 日本未公開らしい
早過ぎたバイオハザード 寒々とした光景 孤独な主人公 

犬は人間の最良の友

映画としては盛り上がりに欠けたが、現実にあり得る、起こり得ると感じられる怖さがあった

繁殖可能な女性がいるなら男がガンバレば問題なしか? それとも遺伝子の多様性が足りなくて結局だめか?

リメイクされた

「地球最後の女」という映画もある

⭐6/10

シェルブールの雨傘 Les parapluies de Cherbourg

音楽:ミシェル・ルグラン

タイトル通り、フランスのシェルブールを舞台にした、まことに「男はつらいよ」な
恋愛ミュージカルの傑作

ヒロイン役のカトリーヌ・ドヌーブさんは、後年凄み、迫力のある感じになって
同じくミュージカルの「ダンサー・イン・ザ・ダーク」にも出演していたが、
この作品では全く別人の様に清楚で、純粋なお嬢さんという感じでかわいい

ミシェル・ルグランによる、ロマンチックでコンパクトにまとまった曲調や、
オープニングの「雨傘」をモチーフにした気がきいた演出など
数十年後の「アメリ」などにも感じられるフランスらしい端正さが
素敵だった

「ロシュフォールの恋人たち」という関連作品があるらしい

⭐7/10

The March

いかにも60年代

日時、場所が設定され、バス、食事、バッジ、プラカードその他諸々が手配され群衆大移動、大行進
感動的なソプラノ独唱、演説、合唱、大歓声
大いなる大義は別にすると、現象としてはナチスの式典などと変わらない

今のアメリカ社会を見ると大義もそれほど効果がなかったらしく事態はそのまま
表舞台に出ないスタッフ、少数の扇動者が欲求不満の大衆を動かしガス抜きさせつつ大儲け、
これが聖書の時代から続く本質か

⭐6/10

Dog Star Man: Part IV

アート系実験作
カラーだがサイレント
気分が悪くなる目まぐるしいコラージュ
6分で終わりで助かった

⭐2/10

乾いた花

原作が石原慎太郎で内容がヤクザ、賭博、仇討ち…と特濃昭和

各カットの絵面が一々完璧に決まる映像がスタイリッシュ

太ったガクトみたいな濃いアイメイクの池部良
確かに小悪魔的だった加賀まり子
ジャッキー・チェンみたいなささきいさお

乾いたムード、気張り過ぎている位の緊張感が心地よい

⭐8/10

砂の女

原作、脚本:安部公房

男(岡田英次)が砂丘の中の一軒家に女と二人きりで閉じ込められてしまうという
「一人よがりな勘違いサブカル」そのもののテーマだが、これは良かった
さびた鉄のような、硬質な魅力のあるモノクロ映像が渋い

その「女」を演じる若い頃の岸田今日子が色っぽく、男とのふれあい方が妙にエロチック
様々な女優でのリメイクを切に願う

武満徹の音楽はいかにも彼らしい

怪談

耳無し法一の全身お経のインパクトは凄い
映像もコクがあって美しい

Wikipedia の英語のページのスペルが Kwaidan クワイダン 

⭐10/10

鬼婆

Onibaba (1964) [1080p] - YouTube

和の魅力たっぷりだが、それに寄りかかりすぎ

もろにコスプレ、メイクな鬼婆(乙羽信子)

モノクロに映える自然豊かな牧歌的風景はいいが話はせこくてつまらない
単なるやきもち焼き婆

⭐7/10

音楽

マイ・ガール My Girl

日本の昭和のムード歌謡や演歌、シャネルズ、ラッツ&スターなどのパクリ元のひとつ

明るいが人工的 太陽ではなく蛍光灯というか

嵐にも同タイルの曲がある

同タイトルの映画もやっぱりある

Where Did Our Love Go

モータウンの中で、スプリームスのなかで、特にこの曲というのがいまいちわからない
よくある普通の、ほのぼのラブソングにしか聞こえないが…
イントロから鳴っている足踏みがサンプリング使用みたいで新しかったのだろうか?

足踏みが途中で左右移動していて芸が細かい

恋のダウンタウン Downtown

いかにもプロの製品っぽいが、完ぺきなポップの一例
もはや死に絶えた白々しいほどの前向きな明るさ
100%建前だけで突っ切れた良き時代

余計なお世話の邦題は相変わらず

誰かが誰かを愛してる Everybody Loves Somebody

もはや死に絶えた職人芸的完璧ポップ
本当はうまく歌える人があえて不器用に唄った感じのボーカル

同名の映画がある

Dancing in the Street

亡くなったデヴィッド・ボウイとミック・ジャガーのカヴァーを先に聞いた
プロモビデオも当時見ていたが、マイクもないのに口をパクパクしながら歌い踊るのを
当たり前のように受け入れていたのが考えてみると不思議だ

原曲は、前向きな歌詞が魂に響く女性ボーカルで唄われ、
コーラスが「ウウーウー」と熱気ムンムン
マーヴィン・ゲイのドラムにホーンにブラスで否が応にも盛り上がる
歌詞の地名列挙が「全米」感が出てていい

Van Halen のカヴァーもあった

オー・プリティ・ウーマン "Oh, Pretty Woman"

オー・プリティ長嶋・ウーマン

白い上品なロック

リフの魅力

影のようにピタリと寄り添うハモリがうまい

こういう歌詞を、眼鏡のオタクっぽい人、プリティ・ウーマンに相手にされなそうな人が歌うのが面白い

援助交際映画「プリティ・ウーマン」で使われていた

A Change Is Gonna Come

オバマ元大統領が選挙の時に盛んに言っていた「チェンジ」の元祖か 確かに変革は来た

全体的に日本の演歌のパクリ元・・・いや、大いに影響を与えていると感じられる

"I was born.." の天空に伸びゆくような「オ~」からすでに美しすぎる歌声
男声というのこんなに力強かったのかと改めて気づかされた

艶めく弦に、温かいホルン、控えめながらも重みのあるティンパニ、勇気づけられるような歌詞・・・真の名曲

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